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クラビズコラム
2025.11.06

ペルソナ&カスタマージャーニーマップとは?Webサイト制作で失敗しないための第一歩

Webサイト制作において、成功を収めるためには、ターゲットユーザーを深く理解することが不可欠です。そこで重要になるのが「ペルソナ」と「カスタマージャーニーマップ」です。これらの手法を用いることで、ユーザーのニーズや行動を明確に把握し、より効果的なコンテンツやデザインを作成することができます。しかし、多くの制作者がこのプロセスを軽視し、結果としてユーザーに響かないサイトを作ってしまうことが少なくありません。

本記事では、ペルソナの基本概念から具体的な作成ステップ、そしてカスタマージャーニーマップの作成手順までを網羅し、Webサイト制作における成功の第一歩を踏み出すための完全ガイドを提供します。実践的な知識を得て、あなたのプロジェクトに活かしてください。

ペルソナとは?~基本概念から作成ステップまで~

ペルソナとは、特定のターゲットユーザーを具体的に描写した架空の人物像のことを指します。マーケティングやWebサイト制作においてペルソナを設定することは、チーム全体の「ユーザー理解」の解像度を高めるために非常に重要です。なぜなら、ペルソナを通じてユーザーのニーズ、行動パターン、抱えている課題を深く理解し、より効果的なコンテンツやサービス提供につなげられるからです。

ペルソナの重要性は、単なるユーザーの属性を知ることにとどまりません。例えば、ペルソナを設定することで、特定のユーザー層に対してどのようなメッセージが響くのか、どのようなデザインが好まれるのかを予測できます。これにより、Webサイトのコンテンツやデザインを最適化し、ユーザーのエンゲージメントを高め、結果としてコンバージョン率の向上やブランドロイヤルティの強化にもつながります。

ペルソナ作成のステップバイステップガイド

ペルソナ作成は、効果的なWebサイト制作において非常に重要なプロセスです。ユーザーの視点に立ったコンテンツやデザインを考えるために、以下のステップで作成を進めましょう。

ステップ1: リサーチとデータ収集

ペルソナ作成の第一ステップは、ターゲットユーザーに関するリサーチです。まずは、既存の顧客データ、市場調査、競合分析、インタビュー、アンケートなどを通じて、ユーザーのリアルな情報を収集します。具体的には、年齢、性別、職業、収入などのデモグラフィック情報に加え、趣味、ライフスタイル、価値観、行動パターンやニーズといったサイコグラフィック情報を探ります。主観や想像ではなく、データに基づいた基礎を固めることが重要です。

ステップ2: ペルソナの具体化

リサーチで得たデータをもとに、共通する特徴をグルーピングし、架空の人物像として具体化していきます。名前や年齢、職業などの基本情報を設定し、さらにその人物の価値観、目標、Webサイトを利用する上での課題や求めていることを明確にします。「30代前半の女性、マーケティング職、健康志向」といった曖昧なターゲット層ではなく、一人の人間としてリアルに描くことが、後の施策の精度を高めます。

項目内容
名前佐藤花子
年齢32歳
職業マーケティング担当
趣味ヨガ、旅行
目標健康的なライフスタイルの維持
課題忙しい仕事とプライベートの両立、信頼できる情報を効率的に見つけたい

ステップ3: ペルソナの活用

作成したペルソナは、Webサイト制作だけでなく、マーケティング戦略全般に活用できます。例えば、ペルソナに基づいてコンテンツを作成すれば、ターゲットユーザーが求める情報を的確に提供できます。また、広告キャンペーンやSNSの運用においても、ペルソナの心に響くメッセージやクリエイティブを設計できるようになります。ペルソナをチーム全体で共有し、「佐藤花子さんならどう感じるか?」という視点を持つことで、ユーザー中心の施策判断が可能になります。

カスタマージャーニーマップとは?~基本と作成手順~

カスタマージャーニーマップは、顧客(ペルソナ)が製品やサービスを知り、購入し、使用するまでの一連のプロセス(体験)を時系列で視覚化したものです。このマップを作成することで、顧客の視点から体験を俯瞰し、各接点(タッチポイント)でどのような感情を抱き、どのような行動をとるのかを明確にできます。Webサイト制作においては、ユーザーがどのようにサイトを訪れ、情報を取得し、最終的にコンバージョンに至るのかを理解するために不可欠です。

カスタマージャーニーの各フェーズ

カスタマージャーニーマップは、一般的に「認知」「検討」「購入」「使用」「リピート(推奨)」といったフェーズに分けられます。各フェーズで顧客の行動や思考は異なります。

  • 認知: 顧客が問題を認識し、解決策を探し始める段階。ブログやSNSで関心を引くコンテンツが有効です。
  • 検討: 複数の選択肢を比較し、製品の特徴や価格を吟味する段階。詳細な製品情報やレビューで疑問を解消します。
  • 購入: 顧客が意思決定を行う段階。スムーズな購入プロセスや安心感が求められます。
  • 使用: 顧客が製品やサービスを実際に利用する段階。使い方やサポート情報が重要です。
  • リピート(推奨): 顧客が継続利用したり、他者に勧めたりする段階。満足度の高い体験が次につながります。

カスタマージャーニーマップの作成手順

カスタマージャーニーマップは、以下の手順で作成します。

1. ペルソナの定義

まず、このジャーニー(旅)の主人公となるペルソナを明確に定義します。どのペルソナの体験を可視化するのかを決めなければ、マップの焦点がぼやけてしまいます。前のステップで作成した「佐藤花子さん」を設定します。

2. 各ステージ(フェーズ)の分析

次に、ペルソナがたどるステージを「認知」から「リピート」まで設定します。そして、各ステージにおいてペルソナが「どのような行動をとるか」「何を考えているか(思考)」「どのような感情を抱くか(感情)」「どのような接点(タッチポイント)があるか」を分析し、洗い出します。この時、顧客の「課題(ペインポイント)」や「ニーズ」を見つけ出すことが特に重要です。

ステージ顧客の行動求める情報接点(例)
認知SNSで情報収集中に広告を見る製品の特徴、メリットSNS広告、ブログ記事
検討ブランド名で検索、レビューサイトを見るレビュー、他社との比較情報比較サイト、公式サイト、口コミ
購入公式サイトでカートに入れる価格、購入方法、送料ECサイトのカート
利用製品を使用し、使い方ガイドを見る使い方、サポート情報同梱マニュアル、サポートデスク
再購入メルマガで限定オファーを知るリピート特典、新製品情報メールマガジン、アプリ通知

3. 改善点の洗い出し

マップが完成したら、特に顧客の感情がネガティブに落ち込むステージや、課題(ペインポイント)が発生している箇所に着目します。そこが、Webサイトやサービスを改善すべきポイントです。この分析結果に基づき、顧客体験を向上させるための具体的な施策を立案し、実行に移します。

ペルソナとカスタマージャーニーの統合方法

ペルソナとカスタマージャーニーは、それぞれ単体でも強力ですが、統合することでその効果は最大化されます。成功の鍵は、作成したペルソナの特性(価値観、課題、情報収集のクセなど)を、カスタマージャーニーマップの各ステップに具体的に反映させることです。

例えば、「佐藤花子さん(32歳、マーケティング職)」が「忙しくて効率的に情報を得たい」というペルソナ特性を持っているなら、ジャーニーの「検討」フェーズでは、詳細なレビューを探すだけでなく、「他社との比較表」や「要点をまとめた動画」を好むかもしれません。このように、ペルソナの特性をジャーニーに反映させることで、ユーザーのニーズにより的確に応じたコンテンツや機能をWebサイトに組み込むことができます。

統合のためのフレームワーク

ペルソナとカスタマージャーニーを効果的に統合し、ユーザー中心のWebサイト制作を実現するために、以下のステップを踏みましょう。

  • 1. ペルソナの作成:ターゲットユーザーの詳細なプロファイルを作成する。(完了)
  • 2. カスタマージャーニーの作成:ユーザーの行動ステップを明確にする。(完了)
  • 3. ペルソナとジャーニーの関連付け:各ステージで「このペルソナなら」どう考え、行動し、何に困るかを具体的に記述する。
  • 4. コンテンツ戦略の策定:ペルソナの課題を解決し、ニーズを満たすコンテンツを、ジャーニーの適切なタイミング(接点)で設計する。
  • 5. 効果測定と改善:実施後のデータを分析し、ペルソナの行動やジャーニーが仮説通りだったかを見直し、戦略を改善する。

成功事例と失敗事例から学ぶ

ペルソナとカスタマージャーニーマップを活用することで、Webサイト制作の成功率を大幅に向上させることができます。しかし、その活用方法を誤ると成果にはつながりません。

成功事例の詳細分析

成功事例として挙げられるのは、あるEコマースサイトが、実際の顧客データやインタビューに基づいた詳細なペルソナを設定したケースです。彼らはペルソナの購買動機や情報収集のクセを深く理解しました。さらに、カスタマージャーニーマップを用いて、ユーザーが購入に至るまでのステップ(特に離脱しやすいポイント)を視覚化し、各ステージで最適なコンテンツやアクション(例:検討段階でのチャットサポート、購入後のフォローメール)を設計しました。このアプローチにより、ユーザーの満足度が向上し、滞在時間、コンバージョン率、リピート率のすべてが向上しました。

失敗事例の教訓

一方で、失敗事例としては、ペルソナを作成する際に実際のデータではなく、内部の主観的な意見や「こうあってほしい」という仮定に基づいてしまったケースがあります。この場合、ターゲットユーザーのニーズを正確に反映できず、カスタマージャーニーマップも実際のユーザー行動と乖離してしまいました。結果として、ユーザーが求めている情報にアクセスしにくく、サイトの離脱率が高まるという事態に陥りました。この失敗から学ぶべきは、ペルソナとカスタマージャーニーは、必ず実際のデータやリサーチに基づいた慎重なアプローチで作成しなければならないということです。

要素成功事例失敗事例
データの基盤実際の顧客データ、インタビュー主観的な意見、仮定
ペルソナの詳細具体的かつ多様(行動・心理)抽象的で乏しい(属性のみ)
カスタマージャーニーユーザーの実際の行動に基づく企業の「理想の」行動に基づく

まとめ:ユーザー理解こそが成功するWebサイト制作の鍵

ペルソナとカスタマージャーニーマップは、Webサイト制作の土台を築くために欠かせない重要なツールです。これらを活用することで、単なる“見た目の良いサイト”ではなく、“ユーザーに選ばれるサイト”を実現できます。ペルソナによってターゲットユーザーの姿を明確にし、カスタマージャーニーマップでその行動や心理を可視化することで、より的確なコンテンツ設計と導線設計が可能になります。

一方で、成功と失敗の分かれ道は「データに基づくかどうか」にあります。主観や想像で作られたペルソナは、ユーザーとのズレを生み、成果につながりにくくなります。信頼できる顧客データや調査結果を基に、実際のユーザー行動を反映させることが、成果を出すための第一歩です。

あなたのWebサイト制作が、企業目線ではなく「ユーザー目線」で設計されたとき、そのサイトは初めて真の価値を持ちます。ぜひ今回紹介した手法を活用し、“伝わるデザイン”と“成果を生むサイト”づくりに取り組んでみてください。ユーザー理解の深さが、あなたのプロジェクトの未来を大きく変えていくはずです。

もし、「自社のターゲット設定がうまくできていない」「どんなサイト設計にすべきか迷っている」と感じている方は、ぜひ一度クラビズにご相談ください。岡山を拠点に、企業の想いを“ユーザーに伝わる形”へとデザインするWeb制作を行っています。ヒアリングから戦略設計、サイト構築まで、御社に寄り添った最適なご提案をいたします。