C

O

L

U

M

N

クラビズコラム
2025.12.23

Webアクセシビリティは「経営戦略」。地方企業こそ取り組むべき理由と、機会損失を防ぐサイトの作り方


「最近、スマホの文字が小さくて読みづらいな……」
「屋外で地図を見ようとしたら、画面が暗くてよく見えない」

社長ご自身も、ふとした瞬間にこんなストレスを感じたことはありませんか?
もし、御社のWebサイトがお客様に同じストレスを与えているとしたら……それは大きな「機会損失」を生んでいるかもしれません。

「Webアクセシビリティ」という言葉を聞くと、「障害がある方向けの話でしょ? うちは関係ないよ」と思われる経営者の方も多いかもしれません。しかし、その認識は少しもったいないかもしれません。2024年4月から施行されている「改正障害者差別解消法」の影響もあり、多くの企業がWebサイトの見直しを始めています。

これは単なる「法律への対応」や「社会貢献」だけの話ではありません。地方企業にとっては、「シニア層を含めたより多くのお客様に、情報を確実に届けるための経営戦略」そのものなのです。この記事では、専門用語を使わずに、なぜ企業がアクセシビリティに取り組むべきなのか、その理由とメリットについて解説します。ぜひ、御社のサイトが「誰かを拒絶していないか」、見直すきっかけにしてみてください。

誤解だらけの「Webアクセシビリティ」。誰のためのもの?

まず、一番大きな誤解を解いておきましょう。Webアクセシビリティは、「目が見えない人や、障害がある人だけのためのもの」ではありません。

正しい定義は、「心身の機能や利用環境に関わらず、誰もがWebサイトで情報を取得・利用できること」です。

「誰もが」とは? 具体的な利用シーン

想像してみてください。御社のWebサイトを見ているのは、デスクに座っている健康な若者だけでしょうか?

・老眼で細かい文字が読みにくいシニアの方
・腕を骨折してキーボードが上手く使えず、マウスだけで操作している人
・営業中の移動車内や、日差しの強い屋外でスマホ画面を見ている人
(画面のコントラストが低いと、文字が全く読めなくなります)

これら全ての人が、ストレスなく情報を受け取れるようにすること。つまり、「アクセシビリティへの配慮 = 全てのお客様への『優しさ』」なのです。

地方中小企業が今、アクセシビリティに対応すべき3つの経営メリット

「優しさ」と言われても、経営判断として予算を割くには理由が必要です。ここでは、地方の中小企業だからこそ得られる「3つの実利」についてお伝えします。

メリット1:商圏の拡大(シニア層の取り込み)

地方都市においては、都心部以上に高齢化率が高く、同時に「シニア層が消費の主役(決定権者)」であるケースが非常に多いです。リフォーム、不動産、医療、冠婚葬祭、贈答品……いずれもメインのお客様はシニア世代ではないでしょうか。

しかし、多くのWebサイトは、制作者(20代〜30代)の感覚で作られがちです。 文字が小さく、コントラストが低い淡い色使いの「おしゃれな若者向けデザイン」は、シニア層にとっては「読みづらい」「どこを押せばいいか分からない」というストレスでしかありません。

アクセシビリティに対応し、「見やすい」「使いやすい」サイトを作ることは、これまで取りこぼしていた巨大なマーケット(シニア層)を自社の顧客として迎え入れることと同義です。 「競合他社のサイトは字が小さくて読めないけれど、御社のサイトは分かりやすかったから電話した」

地方では、この「使いやすさ」が決定的な差別化要因になり、売上アップに直結します。

メリット2:SEO(検索順位)への好影響

実は、Googleなどの検索エンジンも「アクセシビリティ」を高く評価しています。

検索エンジンのロボット(クローラー)は、人間のように画像を目で見て理解しているわけではありません。ページに書かれている「コード(HTML)」を読み取って中身を判断しています。つまり、検索エンジンは「目の見えないユーザー」と同じような状態でサイトを見ていると言えます。

例えば、画像に「何が写っているか」の説明文(代替テキスト)を入れることは、目の不自由な方が使う「音声読み上げソフト」のためになりますが、同時に「検索エンジンに画像の意味を正しく伝える」ことにもなります。 また、見出しの構造を整理して読みやすくすることも、SEOの基本中の基本です。

つまり、「誰もが使いやすい(アクセシビリティが高い)サイト」を作ることは、結果的に「検索エンジンにも理解されやすいサイト」を作ることになり、SEO対策の強化、ひいては検索順位の上昇にも繋がるのです。

メリット3:法的リスクの回避とブランドイメージ

2024年4月から「改正障害者差別解消法」が施行され、民間企業においても障害者への「合理的配慮」の提供が義務化(環境の整備は努力義務)される流れが加速しています。 世界的に見ても、アクセシビリティへの対応は「当たり前の品質基準」になりつつあります。

いち早く対応に取り組むことは、将来的な法的リスクを回避するだけでなく、「コンプライアンス意識が高い企業」「すべての人に優しい企業」というブランドイメージの向上に直結します。 地域社会との結びつきが強い地方企業にとって、「信頼」は最大の資産です。

「うちは誰でもウェルカムですよ」という姿勢をWebサイトで示すことは、お客様だけでなく、求職者や取引先に対しても、企業の誠実さをアピールする強力なメッセージとなります。

あなたのサイトは大丈夫?今すぐできる「優しさ」チェック

では、御社のサイトは現状どうなっているでしょうか?経営者がご自身のスマートフォンですぐに確認できる、簡易チェックリストをご用意しました。

文字は読みやすいですか?(コントラスト)
おしゃれさを優先して「薄いグレーの文字」になっていませんか?
写真の上に文字が乗っていて、背景と同化して読めない箇所はありませんか?

リンク先は分かりますか?
「こちらをクリック」のように、「こちら」という言葉だけにリンクが張られていませんか?「採用情報はこちら」のように、リンク先の内容を含めるのが好ましいです。
ボタンやリンクが小さすぎて、指でタップしようとした時に押し間違えませんか?

画像の意味は伝わりますか?
チラシやポスターの画像を「ポン」と貼っただけで、中身の文章をテキストで書いていないページはありませんか?これでは、音声読み上げもGoogle検索も、中身を読み取ることができません。

「完璧」を目指さなくていい。まずは「改善」から始める

「アクセシビリティ対応には、専門的な規格(JIS X 8341-3)があって大変そうだ……」
そう思われるかもしれません。確かに、規格を全て満たそうとすると、多くのコストと時間がかかります。

しかし、地方の中小企業において重要なのは、「100点満点を取ること」ではありません。

「今、目の前のお客様が困っている箇所を直すこと」です。

・まずはお問い合わせフォームの入力しづらい箇所を直す。
・主力商品のページだけ、文字のコントラストを調整する。

このように、重要な導線から段階的に改善していくだけでも、効果は十分にあります。一度作って終わりではなく、運用しながら少しずつ「優しさ」を足していく姿勢が大切です。

「デザイン性」と「使いやすさ」を両立するには

アクセシビリティの話をすると、「文字ばかりの地味なサイトになるのでは?」「デザインがダサくなるのでは?」と心配されることがあります。

しかし、それは誤解です。知識と技術のある制作会社であれば、「ブランドイメージを高める美しいデザイン」と「誰もが使いやすい設計」は十分に両立できます。

クラビズの伴走型支援

私たちクラビズは、アクセシビリティを「一時的な改修作業」とは捉えていません。御社のWebパートナーとして、以下のようなサポートを行います。

・現状診断: 今のサイトにどのような「見えないバリア」があるかチェックします。
・段階的な改善提案: 予算に合わせて、優先順位の高い箇所から無理なく改善します。
・運用サポート: 新しく追加するブログやニュースが、読みにくくなっていないか定期的に見守ります。

時代の変化や法律の改正に合わせて、Webサイトもアップデートし続ける必要があります。だからこそ、長く付き合えるパートナー選びが重要です。

まとめ

Webアクセシビリティ対応は、社会貢献であると同時に、見えない顧客を取りこぼさないための「最強の防波堤」です。

「誰にでも優しいWebサイト」であることは、そのまま御社の「信頼」や「誠実さ」をお客様に伝えてくれます。

「うちのサイト、もしかしたら誰かを拒絶している状態かもしれない……」

もし少しでも気になられたら、まずは一度診断してみませんか?クラビズが現状の課題を洗い出し、デザイン性を損なわない、御社に最適な改善プランをご提案します。誰もが使いやすく、成果の出るWebサイトへ。まずは無料相談から、お気軽にお声がけください。