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2022.01.04
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新年のご挨拶(代表取締役 秋葉優一)

新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

当社は1月31日をもちまして創業50年を迎えます。皆々様には永きにわたり当社を支えて頂きましたこと、社員一同心より御礼申し上げます。

50年前に当社は「倉敷ビジネスセンター」という名前で創業いたしました。創業のメンバーは大学を出たての3人の若者でした。当時としては新しい地域情報誌ビジネスに目をつけ、地域の情報を一つの紙面に集めて新聞に折り込むことで、多くの方々の目に触れる仕組みを作ろうとしたのが当社のおこりです。今のようにベンチャーと持て囃される時代ではなかったのでしょうから、創業者たちにとっては大きなチャレンジだったと思います。

ちなみに50年前がどのような時代だったかと言うと田中角栄が日本列島改造、日中国交回復を行い、沖縄が日本に復帰して、横井庄一さんが「恥ずかしながら帰ってまいりました」とグァムから戻られた年です。さらにカシオが発売したポケットミニという廉価な電卓が大ヒットし、オムロンの電子体温計が発売された年でもあったようです。戦後がまだ身近にあり、庶民の先端テクノロジーが電卓の時代です。この50年で社会もテクノロジーも大きく変わったなと改めて感じます。

さて今年の私のテーマは「もっと種をまく」です。

この十数年新しい事業を立ち上げてきました。「面白そうだからとりあえずやってみよう!」と思い始めた事業が今では当社を牽引してくれています。始めた自分ですらよくぞここまでと思えるような事業もあります。当然ながら当社メンバーの奮闘があってのことですが、面白いものだなあとつくづく思うのです。今となっては創業した当時とは全く違う事業ポートフォリオとなっていて、当時の事業は全体の数パーセントとなっています。だからこそ「種をまく」ことの大切さをよく分かっているつもりですし、一方でその大変さも分かっているつもりです。我が家の家庭菜園に適当な時期ごとに種をまき野菜を収穫します。当然ながら種をまき忘れたり、時期を逃したらどんな芽も出てこない。合理的に考えればスーパーで買えば早いかもしれません。しかしながら時間はかかっても種を蒔き、世話をして、収穫するというプロセスの中には多くの学びや喜びがあります。

ある方が送ってくださった内田樹さんの毎日新聞の年頭インタビューで次のようなお話がありました。(一部抜粋と引用)

『経済の「パイ」が大きくなっている時には、「選択と集中」というようなことは誰も言わなかったが、右肩上がりの時代が終わり、「パイ」が縮み始めると、とたんに人々が「パイの分配方法」をやかましく論じ出した。そして「選択と集中」という言葉が出てきた。最初のうちは生産性・有用性に基づく資源の傾斜配分には合理性があると思っていた。でも、よく考えたら、どの研究に将来的な可能性があるかなんて実は予測できない。無駄をゼロにして、成功するプロジェクトだけに資源を集中するということはできない。それは「当たる馬券だけ買え」というのと同じ無茶な要求だ。どんな分野でも、どの研究が空振りし、どれが「大化け」するかなんて事前にはわからない。だから無駄をゼロにすることは原理的に不可能。でも今の研究者たちは、自分の研究は無駄ではないことを証明するために、研究時間を犠牲にして、膨大な量の作業を強いられている。この作業は何の価値も生み出していない。まずは「選択と集中」という愚策を止める。評価と査定というブルシットジョブに無駄な手間暇をかけることを止める。そんな暇があったら、足元の空き缶を一つでも拾った方がいい』と。

今の私たちでは未来を予測することはできません。正解なんて誰にもわかるはずがないのに、さも合理的であることが正解とされてきたような気がします。確かに意思決定における前提条件が「現在」だけであればそうであるかもしれませんが、私たちが死んでもこの社会や会社は続いていくとイメージができるなら、非合理的なものの中にこそ我々のまくべき種があるのだと考えることができます。

またこの数年、私たちが経験をしたことのない出来事が起こりました。当たり前だと思っていた日常が、あっという間に崩れ去っていく様を目の当たりにして、恐れお慄きながらも、危機に際して多様な芽をどれだけ残せているかが大切だと認識できたのではないかと思います。

社会も会社も「未来」にも「危機」は訪れる。これは疑いようのない事実です。そのためにも社会や会社に多様な種を一つでも多くまき、また守っていかかなければならない。この感覚を大切にして、結果を恐れず自分が正しいと思うことに今年一年もチャレンジを続けようと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

株式会社クラビズ

代表取締役 秋葉 優一